リンパ球クローン性解析は、単に「PCRをかけ、電気泳動する」だけの検査ではありません。
精度向上に向けた弊社の取り組みをご紹介します。

★エビデンスに基づくプライマー設定

リンパ球クローン性解析の検出感度は使用するプライマー配列におもに依存します。エビデンスに基づく入念なプライマー設定により確実性を追求、感度を最大化します。

IgH, TCR ・・・再構成した免疫グロブリン遺伝子およびT細胞レセプター遺伝子
・・・プライマー

 

  • プライマーの位置はおおよその相対位置となります。
  • 重なって図示されたプライマー同士でも配列が異なります。配列等の詳細は参考文献をご参照ください。
  • 2016年4月現在の使用プライマーを示しています。使用するプライマーは実績や新しいエビデンスなどにより予告なく変更する場合があります。
*参考文献
  1. Burnett,R.C., Vernau,W., Avery,A.C. et al. (2003) : Vet Pathol. 40, 32-41
  2. Tamura,K., Bonkobara,M. et al. (2006): Vet Immunol Immunopathol. 110, 163-167.
  3. Yagihara,H., Bonkobara,M. et al. (2007): Vet Immunol Immunopathol. 115, 375-382.
  4. Keller,S.M., Moore,P.F. (2012) : Vet Immunol Immunopathol. 145, 410-419.
  5. Werner, J.A., Moore, P.F. et al. (2005): Vet. Pathol. 42(5):596-607.
  6. Mochizuki,H., Tsujimoto,H. et al. (2011) : Vet Immunol Immunopathol. 143, 38-45
  7. Moore, P.F., Graham, P.S. et al. (2005): Vet Immunol Immunopathol. 106(3-4):167-78.
  8. Mochizuki,H., Tsujimoto,H. et al. (2012) : Vet Immunol Immunopathol. 145, 402-409

 

★判定段階での客観性を確保

解析データからクローン性の有無を判定する重要な段階では、各種解析技術を使用することで客観性を担保し、偽陽性を最小化します。

【融解曲線分析】

2本鎖DNAが加熱によって1本鎖に解離する際の温度(融解温度、Tm)は塩基配列によって決まることを利用し、PCR産物が単一か否かを判別します。

ポリクローナルの場合、PCR産物は様々なTm値を持つDNA断片の混合物となるため、融解曲線によるピークの幅が広くなります。
ポリクローナル
一方、モノクローナルであればPCR産物は均一となり、単一のTm値しかとらないため、融解曲線によるピークがシャープになります。
モノクローナル
*融解曲線分析はすべての検査で実施しています
【ポリアクリルアミドゲル電気泳動】

クローナリティーの判定は標準的で実績のあるポリアクリルアミド電気泳動によりおこなわれます。上記融解曲線分析と組み合わせることにより、判定の正確性を確保します。

*オプションにて、電気泳動画像を報告書に添付いたします。
【高分解能電気泳動】

キャピラリー型電気泳動を使用したPCR産物のサイズ分離により、判定が困難な症例の解析を補助します。

ポリクローナル ポリクローナル

モノクローナル モノクローナル

*キャピラリー型電気泳動装置を用いた解析は、従来法で判定が困難な症例に対し必要に応じて実施します。